講座
人工流産後に発生した絨毛上皮腫
秦 清三郎
1
1東京医大
pp.41-43
発行日 1959年8月1日
Published Date 1959/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201738
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1.絨毛上反腫の原因
絨毛上皮腫という病気は,子宮癌程多くはないが,それでもなお本症のために毎年相当数の婦人が死亡しており,子宮癌と共に最も恐ろしい婦人病の1つである.子宮癌は,私が癌研究所にいた昭和10年頃では毎年7,000人から8,000人位の死亡者であつたが,昭和28年瀬木博士の日本全国における統計によつても同様8,000人位の死亡者数であるのに反して,絨毛上皮腫では
1947年(昭和22年) 105人
1948 ( 〃 23 ) 168
1949 ( 〃 24 ) 169
1950 ( 〃 25 ) 185
と次第に死亡者が増加しているのであつて,これは診断をつけることが一般に上手になつたためでもあるが,他方罹患数が多くなつたためもあるように思われる.
絨毛上皮腫の原因は胞状奇胎後に発生するのが最も多いのであるが,胞状奇胎でない他の疾患に続発するものも相当多いのである.
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