今月の言葉
助産婦分娩の将来
S
pp.5
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201046
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今のような助産婦の養成状態が将来もつづくとすると,日本の分娩介助の様相に重大な変化が発生することは明である.今日本で1年間に免許を得る新助産婦の数は300人に満たないであろう.このような状態が40年つづくとすると,その間の新助産婦数は12,000人である.40年の間には,戦前に免許を得た多数の助産婦の大部分は,活動不能状態になつている.12,000人の新助産婦のうちには廃業するものもあり,又故障の発生するものもあり,活動力を保持しているものはその3分の2位であろう.
勿論日本の分娩数も減つている.しかし日本の分娩数が近い年次の間に1年120万を割るに至ることは一寸考えられない.120万の分娩に,12,000人の助産婦であれば年間1人当り平均100の分娩となる.その位の取扱数なれば丁度いいではないかと考える方もあるかもしれないないが,しかし1万2千という数は合併前の市町村数と同じであり,旧市町村1個当り1人の助産婦という事になり,助産婦の方では地理的に,又時間的に全分娩を担当する事は不可能である.妊婦の方でも助産婦をあてにする事は既に不可能であり,医師が分娩介助の役廻りを担当せざるを得ない事態になる.今日では,たとえ,病院における助産でも,大部分は,助産婦が介助を担当しているがこの原則は,自然に崩壊する.
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