特集 伸び行く大阪の助産院
病院分娩と助産婦
山添 浪子
pp.12-14
発行日 1959年1月1日
Published Date 1959/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201603
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受胎調節普及の結果出生数が減少した上に,一方では入院分娩が急激に増加して,此の傾向は最早阻止出来ない現状となつて来ました.その為に家庭分娩は急激に減少の一途をたどり,開業助産婦にとつて生活の脅威と云う重大な問題となつて来ました.今後助産婦の行くべき道は無くなつてしまうのではなかろうかと悲観的な見通しから,消極的な方向へと計画変えをした助産婦も相当数に見受けられます.生活の為に致し方の無い助産婦の一面の姿であつたかも知れませんが,然し助産婦はあくまでも助産婦としての本来の仕事に専念し度いと願わないものはないと思います.そしてどの様にしたら直面している悪条件を克服して助産婦業務を確立して行く事が出来るかと云う事は助産婦全体の関心事であろうと思われますが,ではなぜ此の様に病院分娩が急激に増えて来るかに就いて考えて見ますと,住宅難の為にアパート住いではお産が困難になつて来た事,夫婦が簡単に生活する様になつた為に人手が足りないがお産の為に親達に来て貰う事も色々な問題で煩しいと考える様になつた事,親達も又,お産の世話はなるたけしたくないと思う様になつた事,此の様に生活の様式が変つた上に人々の考え方も変つて来ている時,一方では風呂敷包一つで簡単に入院が出来る様になつた事,又衛生思想の向上と共に安全感も大きな力の一つと考えられます.その上,各自の経済力と考え合せて余り負担とならないとあれば病院分娩希望は当然な事と考えられます.
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