今月の言葉
助産婦の現在と将来について
田中 志ん
1
1日本看護協会助産婦会
pp.9
発行日 1960年4月1日
Published Date 1960/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201879
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助産婦といえば昔から分娩介助をすると考えられて来たことは私の申すまでもありません.然し医学の進歩に伴い,その業務分野は大きく拡つて,妊婦,産婦,褥婦は勿論新生児の保健指導をすることが現在の任務であります.従つて従来の助産婦は,この目的を達成するために専門的知識の向上及び技術の練磨に,日夜努力をつづけて居るのであります.又助産婦の教育程度も高度に引上げられて有能な助産婦が送り出されることは,殊に前途に期待を持つのでありますが最近助産婦の志望者が減少しつつあることは,歎かわしいことであります.この原因につき探究するに家族計画及び入院分娩の増加によつて,開業助産婦の生活の行悩みを生ずるためと思うけれども,入院分娩の増加には2つの原因があると思います.1つには住宅難,1つには妊産婦の衛生知識の向上であることは明かであります.之は私共の最もよろこぶべきことであると思います.
昨年も母子衛生大会が開かれて母子福祉のため種々検討されたのであります.この際,私共助産婦は一致団結して立上り社会の要望に応え母子衛生問題を研究し担当すべく決意を固める時であると思います.
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