今月の言葉
安全な助産婦分娩への開拓
S生
pp.5
発行日 1955年11月1日
Published Date 1955/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200941
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最近における医学の発達は目ざましいものがあるが,これに対し助産介助の方法技術の発達には特に注目すべきものがない様である.助産婦自らのする研究考案は自ら限度があり,医学者の行う研究と相対立して道を拓く事が困難であるのはいう迄もない.助産婦は,医学研究者の研究所産を自らの介助する助産に反映し,助産婦介助分娩の成績向上を図る必要があるが,これは種々の制約が実在する.その一つは助産婦が自ら医学の発達を注視し,その採り得られるものを採るという事は実際には不可能であり,どうしても医師が常にこの点に留意し,助産婦に適当なる研究の成果を助産婦に与えなければならないということにあり,もう一つの制約は,助産婦介助に当つて助産婦の行う医療行為が習慣的に法規的に制限されており,この制限は助産婦の最近の質的向上に伴つて解除されていないという事にある.
本来なれば助産婦が自ら声をあげて,助産婦分娩を拘束しているわくをゆるめるべきであろうが,如何なる点に声をあげるべきかを知り得ないというのが実情であろう.この点に付ては,医師,特に産婦人科の医師が助産婦にもつと同情的に考え,助産婦の活動領域,助産に伴う行為の拡大が可能であるように配慮する事が望ましいと思う.
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