社会と助産婦
助産婦の居ないアメリカの分娩
竹内 繁喜
1
1東京都立築地産院
pp.6-9
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200029
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1.現在アメリカの分娩樣式
あらゆる醫療施設が完備した現在のアメリカでも「分娩介助は必す醫師によつてなされなければならぬ」とは法律的には決められていません。小數ではありますが登録された助産婦もいますし,又大した學問や智識もなく,ただ多年の經験によつてのみ助産介助にたづさわつている日本の昔の「産婆」見たような者もまだいくらかは取り残されております。けれども,此等助産婦や産婆は大抵邊鄙な地方で,殊に黒人の妊産婦を對手に働いているものが多く,從つて,アメリカでも東南部地方でやや活動が見られる程度です。言い忘れましたが「産婆さん」も大部分は黒人のおばさんなのです。
ですが,現在アメリカでは大多數は病院に入院して醫者の介助による分娩をしており,地方等で自宅で分娩する場合でも多くの場合は醫師によつて分娩介助がなされています。從がつて「アメリカには現在助産婦による分娩は殆んどない」と言つても決して過言ではないのです。その證據として次の2つの表をお目にかけましよう。
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