書評
—深津 要著—結核患者の心理,他
権六
pp.56-57
発行日 1954年6月1日
Published Date 1954/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200631
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著者は看護実際面に豊かな経験をもつた国立八事療養所の医務課長です.ストレプトマイシン,ペニシリン,INAHなど,結核症にたいする進歩は全たくめざましく,又その死亡率も漸く低下してきたのですが,療養に要する期間はまだ短くなりません.そして多数の患者がそのために毎日を苦るしんでいます.その人達の生みだした詩や文学などは種々の機会に注目をひいています.結核患者のそういつたものを生みだす心理は,医療,看護に従うものにとつて無視できないことでしよう.
医学というものは,本来,身体的治療を目的として現代の高度の医学にまで発展してきました.他方心理学の方で,フロイドなどから始つてきた人間心理にたいする綜合的な考え方(これを形態(ゲシユタルト)心理学というのですが)が,医学の方に大きく影響をし始めて,ドイツに主として精神身体医学というものが,人間は精神的にも治療法を研究すべきだとして生れてきたのです.
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