書評
—深津 要—病人の心理と看護 —松尾 友重—患者の環境と心理/—加藤英夫著—人工榮養
pp.56-57
発行日 1954年11月1日
Published Date 1954/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200740
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この両書は,いずれもナーセス・ライブラリーのなかにおさめられた近刊である.最近精神身体医学,サイコソマテイツク・メデイスンということが大きな話題となつてきた.要するに人間を唯単なる細胞の影だけとみないで,そこに精神力の支配を認め,そのことを治療面医療面,でも重視しようとする立場である.この傾向は,特に最近のアメリカにおいて強くなつているようである.無痛分娩,あるいは無産出産というような事柄も,一種の精神身体医学として考えることができる.ソ連や中京で盛に行われ,日赤でも積極的にとりあげている精神予防性無痛分娩の背後にも,やはりこの考え方があるようである.
特に病者は,肉体が傷ついているばかりでなく心も傷つけられていると見ることができる.心身共に病んでいるのである.従つてそのような病人や患者を扱う場合には,患者の心理や精神状態に対する十分な理解をもつ必要があるのである.それはただ単に親切や丁寧にしてやるといつたようなヒユーマニズムの観点だけからでは問題が解決しない.
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