今月の本棚
—S.J.ラックマン他著 平井富夫他訳—「心理学と医学のあいだ」
岩崎 栄
1
1国立長崎中央病院内科
pp.578
発行日 1978年7月1日
Published Date 1978/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206595
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医療への心理学的アプローチを説く
—医学は,より非人間的な方向への顕著な動きがある.医者と患者が個人的に接触できる時間は平均してわずかに5分,実に短いものとなっている.—この痛烈な医学への批判が本書の序文に寄せられていて,わが国へのものかと思ったが,英国での話である.
本書は二人の英国の心理学者によって書かれたものである.彼らは単なる医療社会への批判のみでなく,じつに真面目で,謙虚に,しかも冷静な眼で,現代の医療を眺め,今日的な医療の荒廃の所以と過程について,具体的に披瀝し,医療とは何かと問いかけ,そして,医療はどうあるべきか,医療の中での心理学の役割,相互関係について,心をこめて説いている.
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