発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907166
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人生觀
今まで述べてきたところは,結局,結核患者の受身の心理—慢性の不幸をからだと心一ぱいに耐えている心理であるが,こういう心理が,やがて徐々に患者の人生觀を築き上げて行くことになる。この人生觀は,前に書いたように,あきらめであることもあるし,自分より強いものにすがりついて安心に「似たもの」をえようとすることでもある。
人生觀は,基本的には3つに分けられるだろう。第1の型は,現實的で刹那的で,虚無的で享樂的な人生觀である。何も信じない。その場その場の場あたり主義である。この中に,甚だ樂天的な肯定主義と逆の否定主義がある。逆にみえるが,實は紙一重の差であるし,もともと場あたり主義であるだけに,一人の患者の心の中で,病状や療養上のちよつとした動搖で,まるでちがつたあらわれ方をすることも少くない。
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