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サンガー夫人(7)
地引 喜太郞
pp.57-59
発行日 1953年9月1日
Published Date 1953/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200445
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これらの講演で,サンガー夫人は,多産に惱む者や虚弱者を續生する家庭では,これを自然の成行きに放任せず,健全な方法による調節の指導をあたえるべきは當然であり,また,これが最も人道的な処置でもあるのだということを,極力実例を加えて説明した.
なお性本能だけが成熟しているような若者が,親になるのは甚だしく危険なことだということも説明した.何故かといえば,たいていの場合に,結婚生活の破綻は,どちらかの一方が餘りにも子供つぽい性格の持ち主たることに基因しているからである.それはつまり,結婚の安定が合理的に示されるまでは,妊娠しないほうがいいということであつた.そしてこの合理的ということは,夫婦の経済力にもあてはめられるべきであるし,妻の健康保持という点にも適用されなければならないのであつた.それゆえに,最初の子供が生れたならば,正当な夫婦関係を設立する意味で,ただちに適当な避妊手段をこうずべきであり,つぎの出産までに2年か3年の期間はおくべきだというのである.そうすることで妻の健康を保持できるし,かてて加えて,次の子供にたいする愛情を平均させることにも役立つのである.
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