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サンガー夫人伝(2)—決意
地引 喜太郞
pp.62-63
発行日 1953年1月1日
Published Date 1953/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200264
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1900年の夏,マーガレツトは若い建築家のウイリアム・サンガーと結婚した。ここで,マーガレツト・ヒギンスは,ミセス・マーガレツト・サンガーになつたのである。そして,幸福な1年が過ぎた。
だが,1年後,サンガー夫人は突然病床に倒れた。長い間の看護婦生活の労働がたたつたのであるが,医師の診断では肺結核ということであつた。彼女は母の死を思い出してどきつとした。彼女はそのときすでに妊娠していた。彼女は陰欝な思いで,夫と別居をし,出産までの数カ月をニユー・ヨーク州のサラナク湖畔にあるサナトリウムで過した。そして,出産の少し前にふたたびニユー・ヨーク市に戻り,夫の許で長男のステユアートを生み落した。このとき,サンガー夫人は,はじめて多くの母親達が経驗している死のような出産の苦しみを味わつたのである。が,彼女は,苦痛と同時に,何ともいいようのない歓喜の気持も味わつた。続いて翌年の夏に,次男のグラントが生れ,更にその後1年8カ月して女の子が生れた。が,このとき,サンガー夫人は,これ以上子供を生んだら健康がもたないといつて医者から厳しい警告を受けるに至つた。
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