医学の話題
抗ヒスタミン劑の正しい使いかた
田沼 葏
1
1順天堂大学医学部
pp.38
発行日 1953年2月1日
Published Date 1953/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200280
- 有料閲覧
- 文献概要
抗ヒスタミンという物質に拮抗的に作用する藥劑で,アレルギー性疾患と呼ばれる一群のものに主として使用されている。アレルギー性疾患がどのようにして起るかということについては,やや議論があるが,生体内で抗原抗体反應というある反應が起り,その結果ヒスタミンまたはそれに類似の物質が人体組織に遊離することにより発生すると大多数の学者により意見の一致を見ている。従つて抗ヒスタミン劑はアレルギー性疾患に使用するのが本筋で,それに属する喘息,アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,濕疹,皮膚炎(かぶれ)などに有効である。しかし藥劑の性質上症状を一時おさえたり,発病を或程度予防することは出来ても,根本からその病気を治すものではないので,投藥を中止すると再発する傾向がある。
抗ヒスタミン剤には現在まで多数のものがあり,中でもアメリカのベナドリール,ピリベンザミンがよく知られている。一般に内服の形で使用され,種類により用量は多少異るが,最も使われているベナドリール(邦製品ではレスタミン,ベナポン,ベナなど)では,通常成人1回量30-50mgを1日3-4回投与し,小兒に於ては年令に應じて適宜減量する。夜間に症状が著しい時は就寢時にのみ服用することがある。内服できない時とか効果を早く得ない場合は皮下注射(成人1回量30mg位)を行う。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.