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皮膚疾患の抗ヒスタミン劑レスタミン「コーワ」による治療成績
西村 長應
1
,
出來 利夫
2
,
金澤 稔
2
1和歌山縣立醫科大學皮膚科泌尿器科教室
2和歌山縣立醫學專門學校
pp.278,288-294
発行日 1949年7月1日
Published Date 1949/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200215
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1.緒言
患者に感受性のある抗原が體内に侵入する時はreaginと呼ばれる感作抗體と耐熱性である保護抗體の二種類の抗體が産出される.前者はアレルギー性whealの發生に密接な關係があり,後者は疾患の治療に密接な關係がある.所謂抗原と此に對するreagin抗體結合反應が血液中或は感作組織中に於て行われる時はヒスタミン或はヒスタミン樣物質が遊離し毛細血管の透過性の増大,滑平筋の攣縮によつてアレルギー牲whealを生じ,皮膚に於ては蕁痲疹,鼻腔及び副鼻腔に於ては枯草熱,氣管枝粘膜では喘息,腦組織では偏頭痛を來す.更に慢性副鼻腔炎,氣管枝喘息,アレギー性濕疹等に於ては細菌の二次感染を伴う.此等アレルギー疾患に對しては諸種な生物學的及び化學的療法が實施せられている.其の概略は第1圖に示すが如くである.1933年Fourneau and BovetがPhenoletherが試驗管内及び體内で抗ヒスタミン性を有する事を發見して以來歐米に於ては多數の合成が行われたが何れも其の毒性の爲に放棄せられた.最近に至り歐洲に於てはAntistin,Antergan,Neoantergan,米國に於てはPyriben-zamine hydrochloride,benadryl hydrochlorideが合成せられ,此等が何れも毒性が比較的僅少で且つ強力な抗ヒスタミン性を有する事が發表せられた.
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