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舊幕時の産兒制限
七海
pp.11
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200053
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食糧事情と人口問題は古今を問わず,國民にとつて悩みの種であつた。食糧事情の惡化が内亂の影響にせよ凶作の結果にせよ,海外よりの食糧輸入が困難な時代にあつては,國内生産に缺陥が生じた場合には,國民は飢餓を忍ばなければならなかつた。また餓死者を出すどいう不幸も生ずるのであつた。
徳川幕府三百年の治下に於て内亂は一・二を數うるに過ぎないが,凶作には度々襲われた。これに備えて食糧備蓄米の制度はあつたが,天明の大飢饉に至つては各藩ともに全く穀倉が空になつて,江戸,大阪のような大都市では多數の餓死者を出した事は,青史に記載されている處である。
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