医學の話題
産科シヨツクについて
石垣 純二
pp.45-46
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200069
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シヨツクに二種ある
急に意識を失つて倒れます,まつ蒼な顔をして手足が冷い,冷汗かいている,脈は數えられないほど細い,呼んでも答えないといつた状態を,俗には卒倒とか人事不省とか腦貧血とか申します(産科の方で,そうした状態は大出血とか子癇などで見られます)しかし專門家は,こうした状態を一口に言つてシヨツクと名付けています。そしてシヨツクの原因とか病理となると非常にむつかしい議論があるようで,正直なところ私たちには,どれが本當やら,なかなかわかりません。理窟はわかりにくくても,そうした現象にはぶつからざるを胃ないわけですから應急の手當をする上には,シヨツクについての最少限度の知識は持つていなければならない通理です。そこで産科の立場から,むつかしいシヨツク論の中の大切な部分だけを取出してみようと思います。(これは私の大學時代の舊友渋澤喜守雄博士の『シヨツクの臨床』醫學書院刊醫家双書による紹介ですから,もつと詳しいことを知りたかつたら,この本を読んで下さい)
そうすると,まず第一に,シヨツクには全たく性質のちがう二種類のシヨツクがあること。そうして,この二種については手當もちがつてくるという點が大切です。その二つを一次シヨツクと二次シヨツクという風に呼びわけます。
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