論述
産兒制限の反對に答へる
太田 典禮
pp.194-198
発行日 1947年9月25日
Published Date 1947/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200180
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1.産兒制限は民族を亡すか
先づ産兒制限は民族の滅亡を招くからよくないといふ議論は,一應御尤もです。私も日本の土地が狹いからといつて,たゞそれだけの理由から産兒制限を主張するのではありません。しかし,民族の發展は單に人間の頭數だけ多くなればいゝというものではない。十分に養育し,教育することもできないほど,子供を澤山生んでも仕方がないではありませんか。優秀な子孫を殘すためには,その時代になり各々の家庭の状態になり應じて,子供の數を適當に制限しなければ,民族の發展も望めません。
人口が減るのは産兒制限の罪ではなく,傘をさゝねばならぬ程雨が降るからなので,罪は雨の方にあるわけです。世の中がそれ以上人口を養ふ事が出來ない時代には,産兒制限をいうことが知られていなかつた昔でも,慘虐な方法を用いてまで人口の増加を防いで來たではありませんか。
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