Japanese
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特集 高次脳機能障害者を地域で支える
リハビリテーション病院での対応
Preparation programs of patients with acquired brain injury in hospital for living in their communities
青木 重陽
1
Shigeharu Aoki
1
1神奈川リハビリテーション病院
1Kanagawa Rehabilitation Hospital
キーワード:
高次脳機能障害
,
回復期リハビリテーション
,
地域生活
Keyword:
高次脳機能障害
,
回復期リハビリテーション
,
地域生活
pp.905-910
発行日 2024年9月10日
Published Date 2024/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203206
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はじめに
高次脳機能障害者は複数の症状をもつことが多い1).そして,各症状の間には関連性があることも多く2),また,社会性と関係が大きい症状も多い3).このことは,高次脳機能障害者においては,その症状は一つひとつが単純に回復していくのではなく,おのおのの症状がほかの症状の影響も受けながら時間をかけて回復し,かつその回復に社会の場の提供が必要となることを意味する.すなわち,初回の入院のなかでの回復には限界があり,地域社会のなかで回復が図られる部分があるということである.
リハビリテーション病院としては,急性期治療が一段落ついた後の回復期において,症状の回復だけでなく,その後に必要になる地域のなかでの生活を安定した形で送るための準備も,対応すべき大きな内容となる.本稿では,高次脳機能障害をもつ入院患者において,こうした準備として行っているプログラムを紹介する.
なお,神奈川リハビリテーション病院(以下,当院)には高次脳機能障害患者が多く入院している病棟がある(以下,当病棟).入院患者の90%以上が何らかの高次脳機能障害をもつが,その原疾患は約60%が脳外傷であり,くも膜下出血,低酸素脳症,脳炎と合わせると約80%を占め,一方で脳内出血と脳梗塞は合わせて約15%と多くない.本稿では当病棟での経験を中心に示すため,脳外傷などによる高次脳機能障害の内容が中心となるが,高次脳機能障害が複数の神経細胞の損傷によって起こることは共通であり,脳内出血や脳梗塞による高次脳機能障害にも重なる部分が多いと考えている.
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