Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
回復期リハビリテーション病棟入院中の高齢者の多くは,入院の契機となった疾病や外傷だけでなく,活動を阻害する複数の併存疾患を抱えている.さらにサルコペニアやフレイル,悪液質など低栄養を来し得る病態を伴うことも少なくない.これらを併せ持った患者に対する,集中的なリハビリテーション治療と活動量増加に適合した栄養管理は不可欠である1).
低栄養の脳卒中患者において,栄養状態を改善しながらリハビリテーション治療を行うと機能予後がよいことが報告されている2).その際,低栄養のみを改善するだけでなく,国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)により患者の全体像を評価して,機能・活動・参加,さらには生活の質の向上を意識した栄養管理をする必要がある.つまり,回復期リハビリテーション病棟の栄養管理は,機能・能力向上をめざし,入院中から生活期までの食事調整や指導・情報提供などの支援を含むものである.
刈谷豊田総合病院(以下,当院)は,院内に回復期リハビリテーション病棟(病床数42床)を併設する急性期総合病院(同704床)であり,回復期リハビリテーション病棟の患者はすべて院内の急性期病棟から転入する.施設基準は回復期リハビリテーション病棟入院料1で,専任の管理栄養士1名(筆頭著者)が配置されている.近年の診療報酬改定により転入時の重症患者割合が引き上げられ(2022年度当院実績は重症割合が52.2%),誤嚥性肺炎の発症リスクが高い患者も増加傾向にある.
また,回復期リハビリテーション病棟入院患者の栄養状態は低栄養21.5%,低栄養リスク29.7%,過栄養5.3%と報告されている3).半数以上は栄養障害を有し,当院も同程度であった.そのため現存する病態だけでなく,予防的観点からの栄養管理がいっそう重要となっている.本稿ではそのポイントを,当院の実践を紹介しつつ概説する.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.