おさえておきたい転倒・転落予防の基本知識と現場での応用
11.セッティング別の転倒・転落の予防と対策:③回復期リハビリテーション病棟
長野 文彦
1
1熊本リハビリテーション病院 サルコペニア・低栄養研究センター
キーワード:
回復期
,
転倒
,
低栄養
,
サルコペニア
,
フレイル
Keyword:
回復期
,
転倒
,
低栄養
,
サルコペニア
,
フレイル
pp.932-936
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034090932
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回復期リハビリテーション病棟における転倒・転落の特徴
回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟は,患者の在宅復帰や社会参加を目的に,積極的なリハ介入が行われる.その一方で,ここでは「転倒・転落」のリスクがしばしば問題となる.急性期病棟と比較して活動量が増加し,生活期に比べて身体機能が十分でないこの過渡的な段階では,身体的・認知的な脆弱性が表出しやすく,転倒のリスクが高い条件が揃っている.
実際,病院内における転倒率は1,000患者あたり3.3~11.5件/日とされており 1),中でも回復期リハ病棟は医療安全の観点から特に注意を要する環境である.急性期では医療依存度が高く行動が制限されるため,相対的に転倒のリスクは低くなる.一方,生活期では自己管理能力がある程度求められ,慣れた住環境での生活となるため,転倒リスクは限定的となる.回復期はこの中間に位置し,リスクが顕在化しやすいフェーズといえる.

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