「瞽女GOZE」・2—人の情念に火をつける稀有な一作

　本誌2021年5月号本欄にて取り上げた「瞽女GOZE」（監督/瀧澤正治）の後日譚である．本作を，札幌映画サークル創立60周年記念上映会（2023年11月23日）で700名以上の方が鑑賞した．劇中使用の瞽女唄を俳優陣に指導した萱森直子の演奏会も加えた贅沢な催しであった．萱森は，本作の主人公である最後の瞽女・小林ハル（1900〜2005）の高弟である．俳優陣の“吹き替えなし”の演奏も，萱森の指導の賜物だ．

　この企画を推進したのは，北海道の自主上映界のレジェンド・岡村雄二と筆者である．タッグを組んだ起点は，本作が上映されていた2021年冬の小さな劇場．筆者はそこで，偶然にも岡村と出会い，「自主上映でやりたい」，「やらなきゃならない」との言葉を交わした．