私と読書
奥底の情念を呼びさまされる刺激的な対談—「女のフォークロア」を読んで
村上 紀美子
1
1日本看護協会広報係
pp.260-261
発行日 1988年3月25日
Published Date 1988/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207346
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民俗学からみた出産
同僚が置き忘れた『朝日ジャーナル』。何年かぶりに手に取ってみたら,本の広告に目がとまった。『女のフォークロア』。宮田登氏と詩人の伊藤比呂美さんの対談で構成されている。宮田先生は学生時代に民俗学実習で指導を受けた懐かしい名前だ。すぐに読み始めた。言い伝え,風習,神話,民間信仰,タブーなどを話し合いながら,妊娠,出産,子供,月経,弔い,魂,男,女……の「意味」をとらえ直す道案内をしてくれる。この本のおもしろさの一端を紹介したい。
たとえば江戸時代の人々は妊娠出産を,あの世からこの世に胎児の霊魂を引き戻すことと考えていたらしい。
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