膝痛を有する高齢者における情緒的サポートと要支援・要介護認定—JAGES 2013-2019縦断研究

Emotional support and the incidence of functional decline in older people with knee pain: JAGES2013-2019 longitudinal study

要旨　［背景］社会的サポートがある高齢者は，その後の要介護認定を受けにくいことが報告されている．本研究は，高齢膝痛有訴者において，情緒的サポートと要支援・要介護認定（以下，要介護認定）発生との関連を明らかにすることを目的とした．［方法］日本老年学的評価研究2013年度の自記式郵送調査に回答した自立高齢者のうち，膝痛を有した4,968名を約6年間追跡した．予測変数を情緒的サポート授受の有無とし，結果変数を追跡期間中の要介護認定発生とした．性で層別し，Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比（hazard ratio：HR）を算出した．［結果］女性で情緒的サポート授受がある者はHR 0.82〜0.84と有意に低く，サポート源の数が増えるほど要介護認定発生のHRが低かった．男性ではHR 0.91〜1.08で有意な関連は認めなかった．［結論］女性高齢膝痛有訴者において，情緒的サポートの授受は要介護認定発生を低減できる可能性が示唆された．