連載 認知症者・家族をさまざまな観点や立場から支えるコミュニケーションスキル・第6回
認知行動療法の観点から
田村 法子
1
Noriko Takasaki Tamura
1
1慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター
キーワード:
認知行動療法
,
応用行動分析
,
精神療法の共通要素
Keyword:
認知行動療法
,
応用行動分析
,
精神療法の共通要素
pp.179-185
発行日 2024年2月10日
Published Date 2024/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203047
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はじめに
認知症の有病者数は世界で増え続けており,わが国では2030年に830万人(5人に1人),2050年には1,016万人(4人に1人)に上ると推計されている1).認知症は,中核症状,行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)だけではなく,障害・症状からくる社会生活の困難がある2).根治的治療法が確立されていない今日,治療は,日本神経学会『認知症疾患診療ガイドライン2017』において,薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行うこと,特に,BPSDについては,非薬物的介入を優先すること,家族をはじめとする介護者への介入も組み合わせて行うことが推奨されている3).患者本人に対しても,その介護を担うご家族に対しても,非薬物的介入において,本稿の読者であるリハビリテーション専門職をはじめとする多職種の担う役割は大きいであろう.
本稿では,さまざまな精神疾患だけでなく,身体疾患や生活習慣など多岐にわたって活用されている認知行動療法(cognitive behavior therapy:CBT)について,その概要と,認知症患者本人,また家族介護者へのいかし方について述べる.
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