Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
太宰治の『右大臣実朝』—あばたの受容
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.230
発行日 2023年2月10日
Published Date 2023/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202759
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1943(昭和18)年に太宰治が発表した『右大臣実朝』は,太宰自身,「くるしい時には,かならず実朝を思い出す」(『鉄面皮』)と語るほど傾倒していた源実朝に対するオマージュ・頌歌のような作品だが,そこには承元2年,実朝が17歳で天然痘に罹った時の様子が描かれている.
その時の実朝は,「突然発熱せられて,どうやら御疱瘡らしいという事になり,御所の騒ぎは申すまでもなく,鎌倉の里人の間には将軍家御臨終という流言さえ行われた」.
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