Japanese
English
特集 脊髄損傷の多角的マネジメント
性・生殖機能障害(男性側・女性側)
Sexual function and raising children(from male and female side)
岡田 弘
1
,
岩端 威之
1
Hiroshi Okada
1
,
Toshiyuki Iwahata
1
1獨協医科大学埼玉医療センター国際リプロダクションセンター
1Dokkyo Medical University Saitama Medical Center, International Center for Reproductive Medicine
キーワード:
脊髄損傷
,
性機能
,
体外受精/顕微授精
,
精巣精子採取術
,
分娩
Keyword:
脊髄損傷
,
性機能
,
体外受精/顕微授精
,
精巣精子採取術
,
分娩
pp.1099-1104
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202615
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はじめに
近年,リハビリテーション医学の発達により,脊髄損傷患者の機能回復(機能維持)や社会復帰が促進されている.行政を中心とした支援の拡充とともに,社会活動に積極的に参加される機会が増加している.これらの若い障害者については,障害者以外の人々も,人生の大きな局面である将来の結婚・妊娠・子育てにいかに対処していくかということは,大きなテーマになっている.本稿は,脊髄損傷患者の「性(性機能)」「挙児(妊娠・出産)」について概説する.
本来は,性機能は高次の精神機能(情動・記憶など)と内分泌機能や神経機能さらには運動機能が複雑に関連したものと考えられている.しかし,脊髄損傷患者の場合には,受傷直後の急性期は自身の将来に対する大きな不安や後悔のためにうつ状態であり,物理的な神経や四肢の損傷のために,さまざまな程度の障害が発生している.近年では,排尿・排便などの排泄管理や胃瘻を含めた摂食管理や呼吸管理の進歩により,急性期を乗り切ることが可能になった.さらに,回復期リハビリテーションを行う時期になると,福祉サービスの充実も後押しをして,早期社会復帰が可能となってきた.
リハビリテーション担当者には,これらの社会で自立した脊髄損傷患者の強い関心事である,性機能や挙児の問題に対する適切な対応が求められている.
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