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はじめに
団塊の世代が75歳を超えていく2025年,団塊ジュニアが高齢者になっていく2040年.日本の超高齢化は世界に類を見ない状況に突入している.平均寿命が延びるなか,健康寿命も延びていく.後期高齢者が増える状況では,健康寿命をより延ばすことが重要となる.共助,公助には限界があり,自助,共助の部分をいかに膨らませることができるかが重要ポイントとなる.社会参加をすることは,居場所,通える場所ができるということであり,そこに何らかの役割が生まれる.そしてその環境下ではお互いが支え合う対象となる.何らかの障害を持っていても同様であり,就労を含めた社会参加は生活の質を向上させ,自己実現につながっていく.
日本人の平均寿命は2019年には男性81.41歳,女性が87.45歳.健康寿命は男性72.68歳,女性75.38歳.どちらも伸びてきている.2007〜2013年の6年間での延び実数(延び率)は男性:平均寿命1.02歳(1.3%)/健康寿命0.86歳(1.2%),女性:平均寿命0.62歳(0.7%)/健康寿命0.85歳(1.2%).一方次の2013年〜2019年の6年間では男性:平均寿命1.20歳(1.5%)/健康寿命1.49歳(2.1%),女性:平均寿命0.84歳(1.0%)/健康寿命1.17歳(1.6%).男女とも最近の6年間のほうが平均寿命,健康寿命とも延び率は高く,その伸び率は健康寿命のほうが大きいことがわかる1).厚労省の全国市町村への調査2,3)によると通いの場は2013年に比し2018年は倍増しており,「通いの場」※1)への高齢者の参加率は2018年の調査では5.7%と2013年の調査2.7%から2倍以上になっている.その2018年調査によると活動内容は体操(運動)が56%で最も多く,次いで茶話会が20%,趣味活動が18%であった.要介護4・5の重度障害者対象の通いの場も1.3%あることがわかった.また,2016年の調査4)であるが運動習慣のある者(週2回以上の運動)の割合は20〜64歳で男性/女性:23.9/19.0%,65歳以上は46.5/38.0%,70歳以上としてみても49.4/37.4%であった.高齢者の運動習慣は70歳以上でも高く,2007年の調査による70歳以上の運動習慣者の割合は男性/女性:39.3/28.4%で経年的にも伸びている.
これからの高齢社会を考えるうえで,健康寿命をいかに・さらに伸ばすことができるかが重要事項となる.高齢者,障害を有しているとしても居場所,通える場があること,そしてそこに参加することが個々にとっても生活の質,自己実現を考えるうえで重要となる.
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