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特集 国際生活機能分類(ICF)の現況と問題点
特別支援教育における意義と活用―ICFはいかに障害児教育の課題を継承し,克服するのか
The influence of ICF on special needs education.
吉川 一義
1
,
河合 隆平
1
Kazuyoshi Yoshikawa
1
,
Ryuhei Kawai
1
1金沢大学人間社会研究域学校教育系
1Institute of Human and Social Sciences, Kanazawa University
キーワード:
自己実現
,
自己認識
,
教育目標
,
教育支援計画
Keyword:
自己実現
,
自己認識
,
教育目標
,
教育支援計画
pp.215-219
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101461
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はじめに
特別支援教育では,乳幼児期から学齢期,卒業後の生活を展望した教育計画が「個別の教育支援計画」を通して策定されている.一方,教育現場では「計画」の策定が自己目的化し,個別性やニーズへの対応を強調するあまり,「目標・計画の個別化」が,「実践の個別化」や「モザイク的な連携」となってしまうことも少なくない.この現状は,改めて「障害をもちながら学び,生きる主体」を反映させた教育目標設定の必要性を浮き彫りにしている.
障害ゆえの「生きにくさ」を構造的に把握し,プラス面や潜在能力を含めた主体形成を保障しようとする国際生活機能分類(ICF)の理念は,学校教育の課題とも重なり合う.しかし現在,期待の反面,ICFの使用には混乱が生じている.その原因は,ICFの理念と体系の基本的理解の困難さだけではなく,従来の障害児教育の課題が反省的に吟味されず,ICFの導入により,いかなる課題を継承し,克服するかについて,課題意識が共有されていない点にある.
本稿では,特別支援教育の役割と課題を踏まえたICFの活用について考察する.
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