Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
『続日本紀』にみる感染症対策—聖武天皇の対応
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.920
発行日 2021年9月10日
Published Date 2021/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202320
- 有料閲覧
- 文献概要
『続日本紀』(宇治谷孟訳,講談社)は,『日本書紀』に続く勅撰史書で,文武天皇元年から桓武天皇の延暦10年まで95年間の歴史が記されているが,そこには疫病に対する歴代の天皇の対応も含まれている.
たとえば,文武天皇2(698)年の3月7日には「越後国が疫病の流行を報告したので,医師と薬をおくり救済した」という記載があり,同年4月3日には「近江・紀伊の二国に疫病がはやった.医師・薬をおくって治療させた」という記載がある.また,元明天皇の時代にも,和銅3(710)年2月11日に「信濃国に疫病がはやったので,薬を支給して治療させた」とあり,同5(712)年5月4日にも「駿河国に疫病がはやった.薬を支給して治療させた」とあるなど,やはり薬物供与を中心とした医学的な対応が試みられている.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.