連載 新専門医制度における研修プログラム・第2回
大学病院を基幹研修施設とする都市部の研修プログラム
川上 途行
1
,
辻 哲也
1
Michiyuki Kawakami
1
,
Tetsuya Tsuji
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
キーワード:
専門医
,
研修医
,
地域医療
Keyword:
専門医
,
研修医
,
地域医療
pp.917-919
発行日 2021年9月10日
Published Date 2021/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202319
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新専門医制度における都市部の研修プログラムの影響
2018年の新専門医制度の開始は,リハビリテーション科の研修にとって大きな転機となった.リハビリテーション科にとってpositiveな変化としては,リハビリテーション科がいわゆる「基本領域」の診療科として認定されたことにより,前期研修医がストレートな進路の候補として考えやすくなったことである.地域によっては,リハビリテーション科へ進むためには一度他の診療科を経験してからでないとならないと考える文化が,いまだに残っているところがあるため,その風潮を変化させる一つのきっかけになった可能性がある.これは,リハビリテーション医療を志す医師の数に正の影響を与えると考えられる.
一方で,この3年間の研修医の動向を踏まえると,新専門医制度によって起こったリハビリテーション科研修に関するnegativeな変化に対し,危機感を持つ場面の方が多かったといえるだろう.一番大きな問題は,日本専門医機構が2019年度から開始した,各都道府県全体における最大採用者数を規定する「シーリング」である.リハビリテーション科の専門医数が不足している1)現状において,どのような形であれ採用者数に制限を行うということは,日本のリハビリテーション医学全体に重大な負の影響を与えることは想像に難くない.研修医からのアクセスがさらに狭まることは,診療科にとって絶対的なリスクである.実際に,既に現場からは「リハビリテーション科に興味があったが,シーリングがあるため敷居が高く,専攻する診療科の候補からは外す」という前期研修医の声は珍しくなくなっている.
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