Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「82年生まれ,キム・ジヨン」—別人格の声は女性を抑圧・差別してきた社会への異議申し立て
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.1231
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202116
- 有料閲覧
- 文献概要
性被害の告発と撲滅を訴える「#Me Too」やフラワーデモ,女性のみに靴や服装といった「外見」を強要することはパワハラであると訴える「#KuToo」など,女性を抑圧,差別する社会に異議を申し立てる運動が世界各国で広がっている.この動きに呼応するかのように「82年生まれ,キム・ジヨン」(監督/キム・ドヨン)は,「人格解離」が疑われるキム・ジヨンという一人の女性をとおして,韓国における女性抑圧の現状を告発.
ジヨンが高校生のころ,男子による付きまといに遭遇.父親から「服装に気をつけろ,笑顔を見せるな,危険な目に遭うのは本人の不注意のせいだ」と,女ゆえ咎められ,男ゆえ保護される倒錯を<負の記憶>として心に刻む.韓国ではその後も温存されている不条理だ.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.