連載 ユニバーサルデザイン・第8回
SDGsとユニバーサルデザイン
西山 敏樹
1
Toshiki Nishiyama
1
1東京都市大学
キーワード:
SDGs
,
エイジングシティ
,
3C
Keyword:
SDGs
,
エイジングシティ
,
3C
pp.1217-1219
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202112
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SDGs時代の未来社会と人間中心設計の重要性
最近,SDGsという言葉を聞かない日はない.周知の通り,SDGsは持続可能な開発目標(sustainable development goals)の略である.2015年9月の国連サミットで採択された.国際連合加盟の193か国が,2016年から2030年の15年間で達成することを念頭に置いた「世界を変革するための17の目標」のことである(図).改めて17の目標をみると,エネルギー・環境保護の話から産業・労働の話,まちづくりや健康・教育の話まで多岐にわたっている.あらゆる人々が一定の生活レベルの下で人間らしく生き,持続可能な国際社会を創り上げていくことが目標である.あらゆる人々の幸福と,持続可能性のある国際社会の発展を考える点では,人間中心設計志向なユニバーサルデザインの環境創造の哲学とも親和性がきわめて高い.本誌の読者の中にも,目下SDGsをビジネスで意識する方が多いはずである.
SDGsは地球上の全生活者と地球そのものの持続をテーマにしたものである.まさに,未来社会を創り上げる世界共通ルールで,例えるなら「ルールのユニバーサルデザイン」である.あらゆる人々の幸福と,持続可能性のある国際社会の発展,この2つの要素を総合的に勘案すると,未来社会での人間中心設計の方向性は,ユニバーサルデザインの7原則およびエコデザインの5原則を掛け合わせて空間や製品,サービス,さらには政策を創造していくことであると導出される.
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