連載 ユニバーサルデザイン・第4回
ユニバーサルデザインとモビリティ
西山 敏樹
1
Toshiki Nishiyama
1
1東京都市大学大学院環境情報学研究科
キーワード:
MaaS
,
電気自動車
,
集積台車
,
エコデザイン
Keyword:
MaaS
,
電気自動車
,
集積台車
,
エコデザイン
pp.789-792
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202019
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MaaSの進展とユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインは,空間・製品・サービスを誰もが使いやすいようにするためのデザイン哲学であるが,特に議論が活発な分野に「交通」がある.生活者の三大欲求である「物」,「情報」,「場」を得るうえで移動が不可欠だからである.日本ではモータリゼーションが進み,鉄道やバスなどの従来型公共交通機関の経営悪化が問題になっている.鉄道路線が相次いで廃止となり,何とか代替の小型路線バスで最小の便数を確保する地域が,国内で非常に増えている.ところが,近年はバス運転手の人手不足が最近深刻化しており,さらなる減便や廃止となるケースも増えている.本傾向が大都市圏でも増えていることは大きな問題である.まさに,移動のサービスそのものを誰もが使いやすいように自動運転も視野に入れて担保することが,わが国の重要課題になっている.
こうしたなかでmobility as a service(MaaS)という概念が注目されている.MaaSは公共交通か否か,また運営主体にかかわらず,マイカー以外のすべての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え,スマートフォンで最適な移動手段の組み合わせを瞬時に提示して,予約や決済もその場で可能にする革新的なビジネスである.重要なのは,従来の公共交通手段とカーシェアリング,ライドシェアなどの新しいサービスを最適に組み合わせてユーザーに推奨し,好みの移動メニューを使用してもらう世界観である.
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