連載 ユニバーサルデザイン・第1回【新連載】
ユニバーサルデザインの世界
西山 敏樹
1
Toshiki Nishiyama
1
1東京都市大学大学院環境情報学研究科
キーワード:
ユニバーサルデザイン
,
エコデザイン
,
価値感
,
技術
,
制度
Keyword:
ユニバーサルデザイン
,
エコデザイン
,
価値感
,
技術
,
制度
pp.495-498
発行日 2020年5月10日
Published Date 2020/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201952
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ユニバーサルデザインの誕生と7原則
日本でも,高齢社会化の進展に伴い,公共交通環境創造の最重要な視座の一つとして「バリアの除去」が位置づけられるようになった.そこで生まれたのがバリアフリーの考え方である.バリアフリーは「障がい者や高齢者,子供,外国人などを問わず,誰もが生活を営むうえで支障がないよう,商品を作ったり建物を設計したりすること.ただし,後からの改良も含める」と定義される.国内では1995年の『障がい者白書』が「4つのバリア」として物理的バリア,制度バリア,文化・情報バリア,意識のバリアを挙げ子供も含め検討するように促した経緯があり,以後障壁除去が各分野で進んできた.
しかし,バリアフリーは端的にいえば「後から改良」的な要素が強いデザイン哲学である.ゆえに,環境により改良の技術的な困難が多数生じ,後からの対応により少量生産が多く多様な無駄も派生した.結局は,多くのお金と時間を使ってしまうという問題が顕在化した.そこで「最初からいつでもどこでも導入可能」,「最初から標準化して大量に生産可能」,「標準化と大量生産で安価を実現可能」な三要素を実現できる米国のユニバーサルデザインに,2000年を過ぎるころから国内への注目がシフトしていった.
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