連載 ユニバーサルデザイン・第3回
ユニバーサルデザインと医療・福祉環境
西山 敏樹
1
Toshiki Nishiyama
1
1東京都市大学大学院環境情報学研究科
キーワード:
医療・福祉施設
,
移動支援
,
インクルーシブデザイン
,
医療・看護用具
Keyword:
医療・福祉施設
,
移動支援
,
インクルーシブデザイン
,
医療・看護用具
pp.697-700
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201997
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病院内での移動が大変な高齢者・障がい者
筆者は,2012〜2014年度に慶應義塾大学医学部の特任教員を務めていた.その折,高齢の患者や障がいをもつ患者から「なぜ病院の中はこんなに移動しにくいのかね」という声をよく聴いた.これは,あらゆる大規模病院に共通した問題ではないようで,われわれは患者サイドの病院内での移動実態について慶應義塾大学病院(首都圏大規模病院の性格をもつ)を例に調べた.本実態調査は2012〜2013年度にかけて行った.
筆者は,慶應義塾大学病院の倫理審査結果に基づいて,外来患者の移動状況を調べた.結果,病院内での移動頻度は1回の外来通院で6.0回,移動距離の合計は286mであった.また患者が自力で移動するつらさが顕在化した.病院内での移動は,高齢者や障がい者にとって大きな負担になりつつある.わが国では全国的にみても古い病院が少なからず残っており,移動抵抗を減らしながらユニバーサルデザイン化を推進していくことが肝要である.
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