特集 高齢者「主治医」事典
【スペシャル・アーティクル】
ユマニチュード―高齢者看護・介護のトピックス
本田 美和子
1
1国立病院機構東京医療センター総合内科
キーワード:
認知症ケア
,
ユマニチュード
,
auto-feedback
Keyword:
認知症ケア
,
ユマニチュード
,
auto-feedback
pp.882-883
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103004
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
人口の高齢化が進む日本において顕在化してきた,さまざまな問題のひとつに急性期病院における高齢者医療とケアの困難を巡る問題があります.年齢が上がるにつれ,ひとの認知機能は徐々に低下しますが,80歳以上の18.8%,85歳以上では33.9%に認知症があると言われています(図1).急性疾患で入院してくる高齢者には,ベースラインとしての認知機能の低下があり,これが理由となり疾患の治療・ケアの実施がままならなくなる事態を,多くの臨床医・看護師が経験しています.ユマニチュード(Humanitude)は35年前にフランスで誕生し,現在400を超えるフランス国内の病院・介護施設で利用され,さらに欧州・北米の国々にも広く受け入れられている感覚・知覚・言語による包括的なコミュニケーションとケアの方法論です.このメソッドの導入よって,患者の攻撃的な言動の減少,寝たきり患者の減少,向精神薬使用の減少(図2),ケアを実施する医療従事者の充足感の増加,ひいては看護師の離職率の減少などがもたらされています.このメソッドが現在日本が直面している問題の解決法のひとつとなることを,国立病院機構・東京医療センターで多くの医師・看護師が経験しました.本稿では,そのユマニチュードの概要についてお伝えいたします.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.