Japanese
English
特集 病態に応じた腰痛のリハビリテーション診療
職業性腰痛
Occupational low back pain
伊藤 英明
1
,
佐伯 覚
1
Hideaki Ito
1
,
Satoru Saeki
1
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
災害性腰痛
,
非災害性腰痛
,
非特異性腰痛
,
腰痛予防対策
,
労働衛生の3管理
Keyword:
災害性腰痛
,
非災害性腰痛
,
非特異性腰痛
,
腰痛予防対策
,
労働衛生の3管理
pp.849-853
発行日 2020年9月10日
Published Date 2020/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202034
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職業性腰痛とは
職業性腰痛は各種の業務に起因して生じる腰痛であり,災害性腰痛と非災害性腰痛の2つに区分される.災害性腰痛は業務上の負傷に起因して突然発症した腰痛(急性腰痛)であり,重量物運搬中の腰部への過重な負荷などにより突然発症する場合を指す.一方で非災害性腰痛は腰部に過度の負担がかかる業務,たとえば重量物の運搬作業や中腰での作業などを継続して行うことによって発症する腰痛(慢性腰痛)が該当する(図1)1).
しかし一般労働者が日常抱えている疲労性,慢性腰痛の大部分は業務上疾病と認定されていないことが多く,重量物取扱作業や腰部に過度の負担がかかる作業に従事していない労働者にも腰痛は発生している.すなわち業務上腰痛認定基準を満たさない一般労働者にも腰痛が多発しており,労災認定とは別に作業関連性腰痛として現場での対策を考える必要がある1).職業性腰痛などによる労働損失日数はきわめて多く,企業における生産性の低下につながるうえに腰痛治療に対する直接的費用として多大な医療費を要する.厚生労働省でも後述する「職場における腰痛予防対策指針及び解説」2)に基づき予防対策を進めている.リハビリテーションの観点からは,作業姿勢の評価や指導,筋力や柔軟性向上を中心とした運動指導などさまざまな予防的介入が実効性ある対策として考えられる3).
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