Japanese
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特集 病態に応じた腰痛のリハビリテーション診療
がんの脊椎転移による腰痛
Low back pain from spinal metastasis in cancer patients
髙木 辰哉
1
Takagi Tatsuya
1
1順天堂大学整形外科・リハビリテーション科・緩和ケアセンター
1Orthopedics/Rehabilitation Medicine/Palliative Care Center, Juntendo University
キーワード:
脊椎転移
,
腰痛
,
骨転移
,
転移性脊椎腫瘍
Keyword:
脊椎転移
,
腰痛
,
骨転移
,
転移性脊椎腫瘍
pp.841-848
発行日 2020年9月10日
Published Date 2020/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202033
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はじめに
日本人が生涯でがんに罹患する割合は,ほぼ2人に1人という時代になった.臨床的に問題となるがんの骨転移はがん全体の10%程度だが,多発のものを含めてその2/3〜3/4程度に脊椎への転移がみられる.がんの脊椎転移は直接的に生命予後を規定するものではないが,脊椎の不安定性や脊髄圧迫などによって疼痛や知覚・運動障害を来し,日常生活動作(activities of daily living;ADL)の障害や,生活の質(quality of life;QOL)の低下を招く.間接的には,動けなくなることによって肺炎や褥瘡,尿路感染などを起こし,生命予後も短くなる可能性が示唆されている.そのような脊椎転移による腰痛と,どう向き合うか.担がん患者であっても原因がはっきりしない腰痛は多く,骨粗鬆症や変性疾患,感染や炎症性疾患,筋筋膜性腰痛などとの鑑別も重要である.がん診療の進歩に伴い,脊椎転移を抱えて生活する患者は増加しつつある.がん診療を継続していい時間を長く過ごすため,あるいは人生の最期まで尊厳をもって動けるため,また,介護負担を軽減して社会的・経済的な改善につなげるためにも,がんの脊椎転移に対するマネジメントは不可欠な問題となる.
本稿では,脊椎転移による腰痛の成因から入り,脊椎転移の診断と治療,リハビリテーション治療の処方とリハビリテーション治療の実際について述べ,方向性を共有する取り組みについても触れたい.
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