Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「コンプリシティ 優しい共犯」—青春映画の装いで外国人技能実習生が抱える課題を可視化する
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.501
発行日 2020年5月10日
Published Date 2020/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201954
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特別支援教育は,障害のある子供の教育にとどまらず,特別のニーズのある子供への教育へと拡張.2019年度以降の大学の教職課程において,必修となる特別支援教育科目に「母国語や貧困の問題等により特別の教育的ニーズ」のある子供たちの教育も組み込まれることになったことは,その証左である.外国ルーツの子供2万人が不就学になっている現下の状況は言うに及ばず,今後の日本社会のあり方を展望するなら,教員養成段階において,日本語指導を必要としている子供たちの教育を視野に入れることは必定.その際,子供をまるごと捉えるという観点から,外国ルーツの青年・大人の現状や支援の実態についても知っておく必要がある.まるごと捉える,とは広く背景を知ることでもある.
法務省の2018年の報告によれば,2017年に失踪した外国人技能実習生は7,000人,過去5年間では延べ26,000人に上る.これは,慰安婦や徴用工としてアジアの若者たちを食い物にしてきた過去と向き合わずに今日に至った日本社会のあり方と無関係とはいえない.
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