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はじめに
近年,世界中で高齢化問題が深刻化しており,総人口における65歳以上の割合(高齢化率)は1950年の4.9%から2065年には38.4%にまで上昇するとされている1).なかでも日本では,2005年より世界の中で最も高い水準となり,2010年以降65歳以上の人口が全人口に対して21%を超える超高齢社会へと突入した.総務省統計局が行った「人口推計」によると,現在65歳以上の高齢者人口は35599千人に達し,総人口における高齢者の割合は28.7%で過去最高と報告されている2).さらにこの割合は今後も上昇を続けると推測されており,2036年には高齢者割合が33.3%と3人に1人が高齢者となり,2065年には38.4%で約2.6人に1人が高齢者となる社会が到来すると推測されている1).
特筆すべきは,その高齢化のスピードである.先進国の国々が比較的長い年月をかけて高齢化が進んでいったのに対し,日本は1970〜2007年のたった26年間で7%から14%へと倍増した.そのために,インフラ整備が間に合わなかったり,資金面での対応が遅れたりと,多くの問題の原因となっている.それに対し,この少子高齢化社会を乗り越えるため,国策として健康寿命の引き上げを大きな目標としている.つまり,介護が必要となる実質年齢を引き上げ,その対象者数を低減させたいという考えである.
近年のロボット技術の発展に伴い,医療・介護分野におけるロボット技術の実用化への試みが多くなされている.これら技術に期待されることとしては,これまで人手による支援が必要であった方々の機能回復を実現し,生活の質(quality of life;QOL)を向上させ,生き生きとした暮らしを実現することである.また,健康寿命をロボット技術や情報技術の力を通して引き上げ,介護に要する費用と人財の大幅な削減を実現することである.
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