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はじめに—AIやロボットが進化すれば,介護人材不足などの超高齢化問題も解決するのか?
近年の少子高齢化により,労働人口が減少する一方,必要となる介護職員数は増加すると考えられる.厚生労働省によると,2025年には介護人材が253万人必要なのに対して,供給見込みは215.2万人にとどまり,37.7万人の不足を推定している1).
一方,人工知能(artificial intelligence;AI)の研究が近年盛んになっており,ディープラーニング(深層学習)をはじめとした,データから自動的に学ぶ技術である機械学習技術がAIの主要な要素となっている.しかし,「機械学習は,データがなければ機会なし(No data, no machine learning)」といわれるように,本物の現場から得られる本物のデータがなければ,機械学習が力を発揮することができない2).AIやロボットを作る研究だけでは,本当に役立つAIは作ることができない.AI・Internet of Things(IoT)の専門家と医療・介護の専門家が力を合わせて,現実的なデータから実用的なAIやロボットを研究開発することが今,まさに重要である.そして,超高齢化先進国である日本に,今このデータを獲得し活用する勝機があると考える.
本稿では,われわれが研究している,スマートフォンで医療・介護行動を自動的に記録できる行動認識技術とその応用可能性を紹介し,また,それをビッグデータと組み合わせると可能になる,看護師や患者・入居者の近未来予測,およびその結果を活用して可能になる,要因分析と業務改善について事例を紹介する.最後に,医療・介護IoTを現場で真に役立たせるための高精度センシング環境について述べる.
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