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はじめに
本邦においては,乳児の頭の変形は当たり前のこととされ,自然改善と頭髪によるカモフラージュが期待でき,成人期においても特段の注意を引くものではないとされていた.米国では1992年に米国小児科学会が,乳児突然死症候群(sudden infant death syndrome;SIDS)の予防を目的としてBack to Sleep campaignを開始し,乳児をそれまでのうつぶせ寝から仰向け寝にすることが推奨された.これにより劇的に斜頭と短頭が増加し1),ヘルメットを用いた矯正治療が広まった.1998年にはDOC Band®が初めて米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)の承認を取得している.
本邦においても,インターネットなどで情報を得て脳神経外科や形成外科を受診する家族が散見されるようになった.2006年には東京女子医科大学脳神経外科において,本邦で初めて米国製のヘルメットを用いた治療が開始された.国立成育医療研究センター(以下,当施設)でも2011年に施設倫理委員会の承認を得て,“赤ちゃんの頭のかたち外来”を開設し,ミシガン頭蓋形状矯正ヘルメット(Michigan Cranial Reshaping Orthosis;MCRO)を導入して,これまで400例以上にヘルメットを用いた乳児の頭蓋形状誘導療法を提供してきた.その後2018年4月には,このヘルメットが本邦初となる薬事承認を取得したことで,医療としての提供が開始されたことになる.
本稿では,まず乳児の変形性斜頭・短頭について概説し,われわれが使用している矯正用ヘルメットの製作,使用の実際を紹介する.
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