Japanese
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実践講座 リハビリテーション看護・3
転倒リスクの評価とアプローチ—転倒リスクの高い高齢者の「できるADL」,「しているADL」の乖離を埋めるための取り組み
The Efforts to bridge of the gap between“capability ADL”and“performance ADL”for elderly people with high risk of falling
山田 小桜里
1
,
伊藤 直樹
2
,
大沢 愛子
3
Saori Yamada
1
,
Naoki Itoh
2
,
Aiko Osawa
3
1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター看護部
2国立研究開発法人国立長寿医療研究センターリハビリテーション科部
3国立研究開発法人国立長寿医療研究センターリハビリテーション科
1Department of Nursing, National Center for Geriatrics and Gerontology
2Department of Rehabilitation, National Center for Geriatrics and Gerontology
3Department of Rehabilitation Medicine, National Center for Geriatrics and Gerontology
キーワード:
転倒転落アセスメント
,
できるADL
,
しているADL
,
身体抑制
,
倫理的配慮
,
トランジショナル・ケア
Keyword:
転倒転落アセスメント
,
できるADL
,
しているADL
,
身体抑制
,
倫理的配慮
,
トランジショナル・ケア
pp.947-955
発行日 2018年10月10日
Published Date 2018/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201446
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はじめに
リハビリテーションを行う患者にとって,その成果を日常生活のなかに落とし込み,動きをより活発化させることは,生活の質(quality of life;QOL)を向上させるうえでも重要である.しかし,リハビリテーションの成果で得られる“できる日常生活活動(activities of daily living;ADL)”と,実際に必要とされる“しているADL”には患者の認識のずれが生じやすい.すなわち,患者の到達意識と実際に行われる安全で可能な動作の間には「乖離」が生まれやすく,それによる転倒転落は国立長寿医療研究センター(以下,当院)でも増加傾向にある.特に,高齢者の特徴である身体的な変化と,それに相応しない理解や判断が発生誘因となることが多く,動ける・動きたい衝動のほうが可能動作範囲の認識を上回る場合に起こりやすい.
鳥羽1)は,転倒ハイリスク者の把握により,あらかじめ高齢者本人や家族,医療者に注意を促すことが転倒予防につながるとしている.回復期リハビリテーション病棟においても,転倒リスクを正しく評価し,ハイリスクである患者本人に加齢変化による危険性を自覚してもらいながら,周囲の専門的介入を強化することが求められている.
本稿では,入院中から在宅療養に向けて,不要な抑制用具を回避しつつ,多職種が高齢者の転倒に対して予防的介入を行い,安全な療養環境を提供できるような支援体制について解説を行う.
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