入門講座 筋力と身体諸機能・4
筋力と高齢者のADL―下肢筋力と転倒・ADL障害の関連
浅川 康吉
1
,
高橋 龍太郎
1
,
青木 信雄
2
,
遠藤 文雄
3
Asakawa Yasuyoshi
1
1東京都老人総合研究所看護・ヘルスケア部門
2梅花女子大学人間福祉学科
3群馬大学医学部保健学科
pp.933-938
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105201
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Ⅰ.はじめに
筋力は加齢に伴い低下する.特に下肢筋力の低下は起居・移動動作を中心とした日常生活活動(activities of daily living;ADL)の能力低下から転倒事故のリスク増加まで広い範囲に及ぶと考えられる.しかしながら,近年の研究では,高齢者における筋力のトレーナビリティ(trainability)の存在が指摘され1,2),虚弱高齢者3)や75歳以上のいわゆる後期高齢者4)においても積極的な筋力トレーニングが有効であることが示されている.理学療法士は下肢筋力の低下が高齢者の生活.に広く影響することを知る一方で,それが積極的なトレーニングの対象であることを認識しておく必要がある.
本稿では,高齢者の理学療法で中心的な対象となる虚弱高齢者や後期高齢者を念頭において,筋力と転倒およびADL能力の関連について論じてみたい.主な論点は,下肢筋力と転倒の関係,下肢筋力と起居・移動動作を中心としたADL能力の関係,および筋力トレーニングの方法と効果についての3点である.
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