Japanese
English
特集 リハビリテーション医療で心理職に望むこと
高次脳機能障害診断に必要な神経心理学的評価の実際
Neuropsychological assessment of higher brain dysfunction
中島 八十一
1
Yasoichi Nakajima
1
1長野保健医療大学
1Nagano University of Health and Medicine
キーワード:
高次脳機能障害
,
神経心理学的検査
,
診断基準
,
頭部外傷
Keyword:
高次脳機能障害
,
神経心理学的検査
,
診断基準
,
頭部外傷
pp.915-920
発行日 2018年10月10日
Published Date 2018/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201439
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
公認心理士の資格が公的に賦与されることになり,高次脳機能障害者支援に向けた有力な専門職集団が増えたことになる.これは画期的なことであり,期待することは多い.
高次脳機能とは大脳皮質の一次運動野,一次感覚野を除く広範な部分の活動といえるが,その障害について本稿で述べる高次脳機能障害とは本邦で行政的に定めた診断基準(表1)1)に拠っている.誤解を招かないために述べておけば,行政的な定義だからといってサイエンスとして矛盾するものではない.身体,知的,精神と3種類ある障害者手帳の分類上,対象者を明確にするために狭義の定義を作成したということである.
この分野にあって個人としての心理専門職がかかわる業務は神経心理学的検査を駆使して患者・障害者の評価を確実なものにすることと,心理調整,認知療法などを通じて治療・訓練を行うことである.そのなかでまず医療機関で患者が高次脳機能障害をもっているかどうか適切に評価することが,それ以降のすべての支援の始まりとなることを考慮して,本稿では病院に勤務する心理職を念頭に日常業務の基本となる高次脳機能障害診断基準(以下,診断基準)2,3)に沿った評価の仕方を中心にして述べる.
求められる素養は障害をもつに至った個人の人生を縦断的に想像できるかという点にあり,一人の人間が疾病の後遺症として高次脳機能障害をもち,その後をどのように生きていくか,どのような問題に遭遇し,どのような対処が可能であるのか理解できることにある.
本稿では心理職に公認心理士という用語を使わず,これまで通りに臨床心理士とする.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.