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要旨 【目的】認知リハビリテーション前後の神経心理学的検査成績と就労・復職実績との関係を検討する.【対象】高次脳機能障害と診断された29名(平均年齢32.1歳).【方法】神経心理学的検査としてWechsler Adult Intelligence Scale(WAIS)-Ⅲ,Wechsler Memory Scale-Revised(WMS-R),Wisconsin Card Sorting Test(WCST),The Behavioral Assessment of Dysexecutive Syndrome(BADS)を実施した.対象者を就労群,未就労群に分類し,就労状態との関連を調べるためにロジスティック回帰分析を行った.【結果】3か月間の注意力の改善を目的とした認知訓練後にWAIS-Ⅲの全知能指数(Intelligence Quotient;IQ),言語性IQ,動作性IQ,言語理解,知覚統合,作動記憶,処理速度,WMS-Rの一般記憶,注意,言語性記憶,視覚性記憶,遅延,WCSTの達成カテゴリー,保続,BADSの総得点,指数,行為計画が有意に改善した.また就労群のほうが認知訓練前のWMS-Rの遅延がよく(t=1.80,p<0.05),WCSTのセット維持困難(t=2.10,p<0.05),BADSの行為計画が悪く(t=2.12,p<0.05),認知訓練後ではWAIS-Ⅲの積み木(t=2.11,p<0.05)が有意によかった.ロジスティック回帰分析の結果,就労状態を予測するのは,達成カテゴリーの変化量,認知訓練後の積木,認知訓練前の遅延(オッズ比=2.16,1.77,1.12)であった.【結語】認知訓練によって遂行機能が大きく改善することが就労につながる指標となり得る.
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