特集 ここを知りたい!頭部外傷初期対応・慢性期ケア
【頭部外傷の慢性期ケアに必要な知識】
高次脳機能障害に対するリハビリテーション
原 寛美
1
1桔梗ヶ原病院 高次脳機能リハビリテーションセンター
キーワード:
頭部外傷
,
高次脳機能障害
,
リハビリテーション
,
神経心理検査
Keyword:
頭部外傷
,
高次脳機能障害
,
リハビリテーション
,
神経心理検査
pp.667-669
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200287
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Case
患者:40歳台,女性.
X年Y月,普通車後部座席に座っていて大型バスと衝突し,左側頭部から後部ガラスを突き破りトランクの上に放り出された.意識障害をきたし,脳外科病院へ搬送され,左側頭部外傷性くも膜下出血と診断,2週間入院して退院.
1カ月後より復職したが,文字を思い出せない,社員の名前が出てこない,などの記憶の障害を自覚.上司に相談したが,「40歳台では自分も同じ」と言われた.初療の脳外科病院を再診し,施行された長谷川式知能検査は正常範囲であったために「神経症かもしれない」と言われた.2カ月後に自賠責保険では「治癒」との診断書記載がなされた.
しかし自覚症状と就労上の支障は持続,ストレスは昂じてきて,高次脳機能障害ではないかと,1年経過してから当院を受診.神経心理検査では人名など固有名詞の記銘想起が困難(固有名詞失名辞),リバーミード行動記憶検査(RBMT,G1)では標準プロフィール点は18点(24点中)であり,左側頭葉損傷による高次脳機能障害と診断.
通院での認知リハビリテーションを開始し,精神障害者保健福祉手帳の診断書を記載,さらに自賠責保険による後遺障害の再認定交渉を開始し,4年後に障害等級7級(労働喪失率56%)と認定された.障害者職業センターでの職業リハビリテーションを経て,障害者雇用枠での再就労が可能となった.
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