Japanese
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特集 神経再生医療とリハビリテーション
パーキンソン病に対する再生医療とリハビリテーション
Cell therapy and rehabilitation for Parkinson's disease
森実 飛鳥
1
,
高橋 淳
1
Asuka Morizane
1
,
Jun Takahashi
1
1京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門
1Dept. of Clinical Application, Center for iPS Cell Reserch and Application, Kyoto University
キーワード:
パーキンソン病
,
再生医療
,
細胞移植
,
運動療法
Keyword:
パーキンソン病
,
再生医療
,
細胞移植
,
運動療法
pp.23-28
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202127
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はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease;PD)は中脳の黒質部にあるドパミン神経が進行性に脱落することにより,手足の震えやこわばり,運動低下などを生じる疾患である1).PDの標準治療はドパミン補充を目的とした薬物治療であり,L-dopaやドパミンアゴニストが治療開始時には有効であることが多い.ところが,発症から時間が経つにつれて薬が効きづらくなり,副作用が問題となってくる.そこで,追加の治療が考慮される.現存するPDに対する外科治療として深部脳刺激療法(deep brain stimulation;DBS)がある.これは電極を脳内に埋め込む治療法で,脳のペースメーカーとも例えられる.この治療は正しい手術適応のもとでは有効な治療であるが,内在性のドパミン神経の脱落をくい止めることはできない.薬物療法,DBS,そしてリハビリーテーションのコンビネーションが現時点の臨床現場で行われている治療である.これらの治療は基本的に対症療法であり,ドパミン神経細胞の脱落は止まらず,病気は進行していく.そこで,これらの病気の進行を遅らせる,もしくは元の健康な状態に戻すとはいわないまでも進行前の状態に巻き戻す治療法として,細胞移植治療,遺伝子治療,抗体療法,核酸治療などが新たな治療として期待されている(図1).
細胞移植治療は失われたドパミン神経に代わり,外から必要な神経細胞を補充するという治療である.本稿ではPDにおける細胞移植とリハビリテーションに焦点を当て,最近の知見を概説したい.
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