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はじめに
脳卒中後の予後予測の精度をいかに高めるかというのは,リハビリテーションの臨床にとって,さらには,医療政策的にも非常に重要なテーマであり,精力的に研究が行われている.リハビリテーションでは,機能障害(impairment)や能力障害(disability)が予後予測の対象である.まず,どういう機能や能力が障害されていて,どういう機能や能力が障害されていないかを評価する.また,既存の脳卒中や認知症などの神経疾患,整形外科的疾患,内科的疾患を確認し,発症前の身体機能や日常生活動作(activities of daily living;ADL)を把握しておく必要がある.
コンピュータ断層撮影法(computed tomography;CT)や核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging;MRI),CT・MR血管造影などの神経画像は,病型診断,病態やリスク評価のために必須である.また,病変部位と症状との関連,さらに,予後予測に関しても,症候性・無症候性脳卒中や脳萎縮,あるいは,白質病変〔MRI T2強調像,fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)像での高信号域〕,微小出血などのsmall vessel diseaseの有無などを確認し,症状に関連する脳領域の障害の程度や,障害を受けていない脳部位が代償的に活動し可塑的な変化を来し得るかを評価するのに需要な情報源である1).
これまでにも,脳画像を用いて,脳梗塞ではAlberta Stroke Program Early Computed Tomography Score(ASPECTS)や梗塞巣の大きさ,出血性梗塞の合併,脳出血では血腫量が全般的な重症度の予後予測に役立つことが知られているが,本稿では,神経画像,特にMRIで,脳卒中の特定の症状を来す病巣を明らかにできるか,また,予後を予測できるかについて,これまでの手法を理論的に検証し,課題を克服するために行われている試みを概説する.
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