巻頭言
入院患者の心身機能回復に看護が貢献
林 𣳾史
1
1原宿リハビリテーション病院
pp.1043
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200783
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約30年間,公益財団法人のジャーナル誌に国内では少ないリハビリテーション研究の日本語論文を紹介してきたが,「総合リハビリテーション」誌には多角的に鳥瞰したリハビリテーション医療の臨床研究論文が多いことから,たくさん紹介させていただいた.それはリハビリテーション医療・医学の進歩には遺伝子配列や脳神経回路の賦活などの基礎研究とともに障害者の心身機能回復に関与職員がおのおの果たす役割などの臨床研究も大切なためである.特に昨今では障害者だけでなく,疾患を有したままの障害患者へもリハビリテーション医療は自立生活・社会参加にまで回復させることが求められているため,看護師などリハビリテーション・チームの活躍の重要性が増している.
病理学所見や生理学・生化学検査の進歩に裏打ちされた一般の医学・医療分野とは異なり,治療の中心となる個々の職員の活動・訓練の有効性をリアルに記録する技術が未完成なリハビリテーション医学・医療分野では,定時ケース会議の際の心身機能評価でおおよその治療・訓練効果を把握している.一方,多くの症例での治療前後の心身症状・障害像の詳細な変化と個々の職員の関与とを分析すると関与職員の役割が判明することから,関連12病院1,985床に半年間に約5,000例入院した悉皆症例について約170項目の入院時・退院時情報を集積・解析した.
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